東京高等裁判所 昭和41年(ネ)864号 判決
本件仮処分はいわゆる処分禁止の仮処分であつて、仮処分そのものが仮処分債務者が処分する可能性の高いことを予定しているのである。すなわち、いまだ登記されていない処分があり、あるいは将来処分がなされる可能性が高いことを理由として、仮処分債権者がこれに優先する地位を取得するためになされるのが処分禁止の仮処分である。したがつて、仮処分債権者はこれらの処分を抽象的にもせよ予測しているか、少くとも予測することができる立場にいるものということができるから、かかる処分をしていた仮処分債務者が違法な処分禁止の仮処分を受けることにより蒙つた損害は、特段の事情のないかぎり予見可能の範囲にあるものというべきである。のみならず、本件においては、控訴人らは被控訴人から前記執行取消の催告を受けた際この間の事情を知らされているのに直ちに執行の取消をせず、仮処分を維持したのであるから、控訴人らは右の損害を予見していたか少くとも予見することができたものというべきである。したがつて、控訴人らは右の損害を賠償する義務がある。
(小川 松永 川口)